多くの事業者が「許可を取得すれば安心」と考えがちですが、実際には取得後の管理や運用にこそ大きなリスクが潜んでいます。
この記事では、行政書士の立場から、許認可制度に関する「よくある盲点」について解説します。
建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可など、多くの許認可には有効期限が設けられており、更新手続きを怠ると自動的に失効してしまいます。
役員変更や営業所移転など、些細に思える変更であっても、届出義務がある場合があります。
提出しないまま放置していると、報告義務違反と見なされることもあります。
特に人員要件(例:建設業の専任技術者、産廃の講習受講者等)や財務基盤要件(例:産業廃棄物処理業や特定建設業等)などは、取得時だけでなく継続して満たしている必要があります。
新規事業や業務拡張の際に「それって許可が要る業種だったの?」と後から気づくケースがあります。
知らずに営業を始めてしまい、行政処分や刑事罰の対象になることも。
風俗営業と深夜営業、一般貨物と倉庫業など、複数の許認可が必要な業種では、片方しか取得せず違反とされる例もあります。
許認可は一度取得したら終わりではなく、維持・更新・報告・変更対応などを含めて、継続的な法令遵守と経営管理の対象です。
また、行政庁からの調査や報告義務に対応できる体制を整えておくことで、信頼性の高い事業運営につながります。
許認可は、事業の信頼を担保し、取引や入札、融資などの場面でも優位性を発揮する“経営資源”です。
その一方で、「知らなかった」では済まされないリスクもあります。ぜひ、許認可に強い専門家を伴走者に、安全かつ戦略的な運用を目指しましょう。