飲食店やバー、スナックの開業を検討している方にとって、最初の大きな壁となるのが「許可・届出」の問題です。
特に、「風俗営業許可」と「深夜酒類提供飲食店届出」の違いが分かりづらく、混同されがちです。
この2つは、対象となる営業形態や営業可能時間などが大きく異なります。この記事では、それぞれの制度の概要、違い、注意点について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
風俗営業許可とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる「風営法」)に基づき、特定の営業を行うために必要な警察署への「許可」です。
代表的な風俗営業の種類には、以下のようなものがあります。
「接待」とは、単に会話するだけではなく、顧客のそばに付き添い、飲食を共にしたり、歌を歌ったりする行為を含みます。
許可を受けた上で、営業可能な時間は原則として午前0時まで(地域によっては例外あり)。また、営業所の場所についても厳格な規制が設けられており、学校や病院などの保護施設周辺では許可が下りません。
一方で、「深夜酒類提供飲食店届出」は、午前0時以降に酒類を提供するバー、居酒屋などを対象にした制度です。
接待を行わず、単に深夜に酒類を提供する飲食店が対象です。
この場合は「許可」ではなく、「届出」です。つまり、所定の要件を満たし、所轄の警察署へ書類を提出すれば、営業開始が可能です。
ただし、届出は営業開始の10日前までに行う必要があり、必要書類も複雑なため、専門家への相談が推奨されます。
「接待の有無」が最も大きなポイントです。接待を行うのであれば、たとえ深夜営業を行わなくても「風俗営業許可」が必要になります。逆に、接待を行わずに深夜まで営業するのであれば、「深夜酒類提供飲食店届出」で足ります。
風俗営業許可の場合、営業所が学校や病院などの保護施設から一定距離以内にあると許可されません。一方で、深夜酒類提供飲食店届出にはこのような立地規制はありませんが、周辺住民とのトラブルを避ける配慮が必要です。
両手続きともに、店内の見取り図や照明の明るさ、音響設備などの詳細図が必要になります。これが提出書類の中でも最も手間のかかる部分です。
届出・許可いずれにおいても、所轄の生活安全課との事前調整がスムーズな手続きの鍵を握ります。
これらの手続きは一見シンプルに見えても、法的・実務的なハードルが多く存在します。特に以下のような場合には、行政書士などの専門家に相談するのが安心です。
開業スケジュールに支障が出ないよう、余裕を持った準備が求められます。
「風俗営業許可」と「深夜酒類提供飲食店届出」は、見た目は似ていても制度的にはまったく異なる手続きです。営業スタイルに応じて、必要な手続きを正しく把握し、早めの準備を進めることが重要です。
当事務所では、これらの届出・許可申請を数多くサポートしてきた実績があります。スムーズな開業と安心の運営を実現するため、ぜひお気軽にご相談ください。