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会社の「目的」と許認可について

株式会社や合同会社の設立に際しては「目的」を定めることが必要です。

会社の目的は定款、登記事項証明書に記載される必要的な記載項目の一つであり、対外的にも企業活動の範囲や方向性を示すものです。

この記事では、会社の「目的」を考える際に注意すべきポイントについて解説します。

明確かつ具体的な記載が求められる

会社の目的は、事業の具体的な内容を明示する必要があります。例えば、「建設業」「産業廃棄物処理業(収集運搬業、処分業)「古物商」「飲食店の経営」や「不動産賃貸業」など、何を事業の中心に据えるかを明確に記載することが重要です。

曖昧な表現や、広範囲にわたる事業目的は、取引先や金融機関からの信頼を得る上で不利になることがあります。

例えばご自身が銀行の担当者だと仮定してみてください。融資先の謄本をあげてみたら目的が何の会社か分からないような会社に融資するでしょうか?

この点、よほど曖昧でない限りは希望する目的で会社の設立自体はできてしまいます。基本的には設立者の希望が通るためです。

だからこそ設立の段階で注意が必要です。会社の目的は曖昧な表現を避け、具体的かつ明確に記載するようにしましょう。具体的でない目的は後々問題となる可能性があるため、できるだけ明確に事業内容を示すことが重要です。

  • 悪い例: 「開発販売事業」
  • 良い例: 「情報技術を活用したソフトウェアの開発・販売事業」

具体的な目的を設定することで、取引先や金融機関からの信頼も得やすくなり、事業をスムーズに展開するための基盤が整います。

将来の事業拡大を見据える

現在の事業内容だけでなく、将来的な事業展開を見据えて目的を設定することも必要です。例えば、現在は飲食店を経営しているが、将来的にはフランチャイズ展開や食品加工の事業も検討している場合、その可能性を反映した目的を定めることが重要です。

現在の事業内容だけでなく、将来展開したい事業も目的に含めておくことが重要です。目的に含まれていない事業を新たに定款に加える場合には定款変更の手続きが必要となり、法務局への登記申請も必要です。手間や費用がかかるため、予め幅広い事業内容を含めておくことが賢明です。

とは言え、今現在行っていない事業をいくつも登記してしまうと結局「何を本業とする会社か分からない」と評価されてしまうケースもありますので、この辺は判断が必要です。

 法令遵守と行政の審査基準を考慮

会社の目的は、当然ですが法令に違反しない内容であることが求められます。その意味では必ずしも希望が通るわけではありません。

また、行政の審査基準も考慮する必要があります。例えば、特定の業種では許認可が必要な場合があり、その取得に際して事業目的が適正かどうかが審査されます。したがって、目的設定においては、専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討することが重要です。

許認可業種の場合の特別な記載

特定の業種、例えば建設業や古物商、宅地建物取引業や産業廃棄物処理業等では事業を行うために許認可が必要です。

そのため、これらの業種に関する事業目的を設定する際には、許認可の要件に適合した表現を用いる必要があります。

場合によっては会社の目的に含まれていないことで許認可を取得できないというケースもあります。障がい福祉サービス事業等では目的の記載が一言一句定めれている自治体もあります。

適切な記載を行うことで、後のトラブルを避けることができます。

 取引先や金融機関への影響を考慮

会社の目的は、取引先や金融機関がその会社を評価する際の重要な要素です。過度に広範な目的を設定すると、事業の焦点が不明確になり、信頼性が低下する可能性があります。逆に、目的が狭すぎると、将来的な事業展開が制限される可能性があります。このバランスを考慮し、適切な目的を設定することが求められます。

事業の一貫性を保つ

会社の目的は、企業の理念やビジョンと一貫性を持たせることが重要です。

一貫性のある目的は、企業のブランドイメージを強化し、顧客や取引先からの信頼を得る助けとなります。

例えば、環境保護を重視する企業であれば、目的に「環境に配慮した製品の開発・販売」といった表現を含めることで、企業の姿勢を明確に示すことができます

まとめ

株式会社の「目的」を設定する際には、具体性と明確さ、将来の事業展開、法令遵守、許認可の要件、そして取引先や金融機関への影響を慎重に考慮することが必要です。

これらのポイントを押さえることで、安定した事業運営と信頼性の向上を図ることができます。目的の設定に関するご相談も行政書士の視点でアドバイスいたします。

お気軽にお問い合わせください。

 

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