不動産の売買や賃貸を業として行う場合、「宅地建物取引業免許(宅建業免許)」が必要となります。
無許可での営業は違法となり、厳しい行政処分の対象ともなります。今回は、宅建業免許の取得にあたって押さえておくべき主要な要件とポイントについて、行政書士としての視点から解説いたします。
そもそも宅建業とは?
「宅地建物取引業」とは、宅地や建物の売買・交換・賃貸の仲介を業として行う事業を指します。
ここで重要なのが「業として」という点です。継続して営利目的で取引を行う場合は、たとえ個人であっても宅建業免許が必要です。
宅建業免許が必要となるのは、以下のようなケースです。
逆に、単発で自分の不動産を売るような場合には免許は不要ですが、複数の不動産を繰り返し売買するような行為は「業として」の認定を受ける可能性があります。
宅建業免許には「知事免許」と「大臣免許」の2種類があります。
申請先は営業所の所在地を管轄する都道府県庁または国土交通省です。
宅建業免許を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
宅建業は「事務所」を拠点として運営されるため、居住用とは明確に分かれた独立性のある事務所が必要です。
自宅兼事務所も認められる場合がありますが、その場合も専用スペースの確保が求められます。
営業所ごとに1名以上、常勤で専任の宅地建物取引士(宅建士)を配置する必要があります。
専任とは、他の業務との兼務がないこと、他社に属していないことが条件となります。
過去に免許取消し処分を受けた方や、一定の刑罰歴がある方は、一定期間免許を取得することができません。
また、法人の場合は代表者・役員全員が対象となります。
資本金や自己資金に関して、明確な基準はありませんが、営業継続が可能な一定の資金力が事実上求められることが多いでしょう。
例えば事業開始時に供託金を積むか協会加入が必要ですが、その際にはある程度まとまった資金が必要です。
免許を取得すれば終わりではありません。主な義務には以下のようなものがあります。
これらを怠ると、指導・監査、最悪の場合は免許取消しとなる場合もあります。
宅建業免許の申請は、書類の多さと法的要件の複雑さから、初めての方にとっては大きな負担になります。
また、事務所や宅建士の専任性など、形式的要件を一つでも満たさなければ申請は受理されません。
行政書士に依頼すれば、事前調査から書類作成・提出まで一貫してサポートを受けられ、申請の確実性とスピードが大きく向上します。
宅建業免許を取得するためには、事務所・人材・資金・法的条件など複数の要件をクリアする必要があります。特に、専任の宅建士の確保や事務所の要件は見落とされがちですが、審査においては非常に重要です。
これから宅建業を始めようとお考えの方は、早めに行政書士へ相談することで、スムーズな許可取得と開業への第一歩を踏み出すことができます。