
| この記事で分かること ・2024年4月改正の改善基準告示により、拘束時間は原則1日13時間以内・月284時間以内・年3,300時間以内 ・休息期間は継続11時間以上が努力目標、9時間を下回ってはならない ・運転時間は2日平均で1日9時間以内、2週間平均で1週間44時間以内 ・違反は労働基準監督署の是正勧告や行政処分の対象になり得るため、許可取得後の運行管理体制の整備が重要 |
運送業には、一般的な労働基準法とは別に、トラック運転者特有の労働時間の考え方(改善基準告示)があります。許可取得はもちろん重要ですが、許可後の働き方についても正しく把握しておく必要があります。
この基準は、運転者の長時間労働による健康被害や、それに伴う交通事故を防ぐことを目的に定められています。2022年12月に改正(令和4年厚生労働省告示第367号)され、2024年4月1日から新基準が適用されています。
| 用語 | 内容 |
| ①拘束時間 | 始業から終業まで、会社に拘束される全時間(休憩・待機を含む)。運転者が出勤してから、荷物の積込み・配送等を終えて退社するまでの時間。 |
| ②労働時間 | 実際に業務を行っている時間。労働基準法の考え方と同じで、所定労働時間と残業時間の合計。 |
| ③休憩時間 | 拘束時間内の休憩。運転4時間ごとに30分以上必要。運転者が自由に使える時間なので労働時間には含まれないが、拘束時間には含まれる。 |
| ④手待ち時間 | 指示待ち・荷待ちなどの時間。運転はしていないが仕事に備えて待機している状態のため、労働時間に含まれる。 |
| ⑤休息期間 | 1日の勤務が終わってから次の勤務開始までの、業務から完全に解放された連続した休み。 |
| ⑥運転時間 | 実際に運転している時間。 |
特に④の手待ち時間(荷待ち時間)は、運転していないため見落とされがちですが、労働時間・拘束時間の両方に含まれる点に注意が必要です。
荷待ちの時間を休憩時間として扱ってしまうケースがありますが、手待ち時間は運転者が自由に使える時間ではないため労働時間に含まれます。休憩時間との違いを運行管理者・運転者双方が正しく理解しておく必要があります。
日々の記録がないと、月末になって初めて284時間の上限を超えていたことに気づくケースがあります。日次・週次で拘束時間を集計し、上限に近づいた段階で運行計画を調整できる体制が重要です。
284時間を超えて310時間まで延長できるのは、労使協定を締結している場合に限られます。協定がない状態で284時間を超えると、それ自体が違反になります。
11時間はあくまで努力目標ですが、9時間を下回ることは認められていません。早朝便と深夜便を同じ運転者に続けて割り当てるような場合、休息期間が9時間を下回っていないか確認が必要です。
Q.拘束時間と労働時間はどう違うのですか?
A.拘束時間は「休憩や待機を含めた、会社に拘束される全時間」、労働時間は「実際に業務を行っている時間」です。休憩時間は拘束時間には含まれますが、労働時間には含まれません。
Q.荷待ち時間はどちらに含まれますか?
A.労働時間に含まれます。運転者が自由に使える時間ではないためです。
Q.休息期間は必ず11時間必要ですか?
A.11時間は努力目標です。ただし、9時間を下回ることは認められていません。
Q. 1ヶ月の拘束時間が284時間を超えそうな場合はどうすればいいですか?
A.労使協定を締結していれば年6ヶ月まで310時間まで延長できますが、それ以外の場合は運行計画の見直し(他の運転者への引き継ぎ、休日の調整等)が必要です。
運送業許可の要件全体(資金・人・場所・車両・法令試験)については、こちらの記事をご覧ください
拘束時間・休息期間のルールは、許可取得後の事業運営に直結する重要な基準です。違反が発覚すると行政処分のリスクもあるため、許可申請の段階から運行管理体制を意識しておくことをおすすめします。