日本の中小企業は全企業数の99%を占め、雇用の7割を占めていると言われています。
いわば我が国の地域経済・地域活性化だけでなく、日本全体の生活基盤が中小企業に支えられていると言えます。
一方で2025年以降には団塊の世代が後期高齢者となり、「事業承継」がクローズアップされています。実際弊社でも事業承継に関する相談が増えております。
我が国そのものを支える中小企業が、その存続か廃業かという場面に立たされているのです。
事業承継に「許認可の視点」を忘れていませんか?
事業承継の際は「人」「資産」「知的資産」等について様々な課題を検討する必要がありますが、意外に盲点なのが「許認可」です。
許認可を専門とする弊社から見て、なぜこの事業承継では許認可について検討していなかったのだろう、と疑問に思うケースが良く見られます。
結果、許認可を維持できずに事業をおこなうことそのものができず、「事業承継を行った意味がなくなった」という恐ろしいケースを聞いたこともあります。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
これは「事業承継を行えば許認可も自動的に引き継がれる」という誤解に起因しています。 確かに許認可を要しない事業ではそう言えるかも知れませんが、「承継後に許認可の要件を満たせなければ許認可が消滅する」場合がほとんどです。
現状の許認可がどうなっているか。
承継後に許認可を継続できる体制となるか この事業承継前にあらかじめこの視点を持っておかなければなりません。
事業承継時に必要な許認可の「例」
1.建設業許可の承継
建設業許可のケースを考えてみましょう。
税込500万円以上の建設工事を請負う場合は建設業許可が必要ですが、建設業許可を取得するためには一定年数の建設業の経営経験を有する「常勤役員」と許可に応じた国家資格や実務経験を有する「営業所技術者」が必要です。
これらの人的要件は新規許可のときだけでなく「許可の維持」のためにも必須。すなわち常勤で所属している必要があります。
事業承継を行う際にこれらのキーマンが退職してしまうと、建設業許可が維持できません。
承継後の会社に所属するのかしないのか、同様の経験を有する役員や従業員が存在するのか、承継前にしっかり確認しておく必要があります。
2.産業廃棄物処理施設の承継
産業廃棄物処分業のケースを考えてみましょう。
産業廃棄物の中間処理(焼却・破砕など)を行う場合は「産業廃棄物処分業」の許可が必要ですが、その前提として「産業廃棄物処理施設」の設置許可が必要です(処理能力や種類によっては当該許可が必要ない場合もあり)。
中間処理などの処分業を行う許可の前に施設そのものの使用許可が必要ということです。
この点、新規による施設設置許可取得のためには長い時間を要しますが事業承継の場合はそうではないものの、承継時に別な許可が必要です。
事業承継の方法にもよりますが、あらかじめ産業廃棄物処理施設の譲受または借受の許可、合併または分割の許可が必要です。
3.一般貨物自動車運送事業の承継
一般貨物自動車運送事業における事業承継では、「譲渡譲受認可」「合併分割認可」という手続きがあります。
譲渡譲受認可の際は改めて年間資金計画の提出とそれを有していることを証明する預金残高証明が求められますし、各営業所に配置する車両情報も改めて提出する必要があります。
「一般貨物自動車運送事業」を有する事業者の申請ですが申請の複雑さは新規以上です。
4.診療所(クリニック)、医療法人の承継
先生個人が開設する診療所(クリニック)を法人化するという流れは新規で医療法人を設立するスタンダードな流れですが、既存の医療法人が事業承継として別な個人開業の先生のクリニックを開設するケースや医療法人そのものを承継するケースも増えています。
診療所や医療法人の承継の場合は、承継対象である診療所の管理者の扱いや保険診療に必須である保険医療機関指定の遡及適用手続の検討も必須なので、あらかじめ綿密に確認しておくことが大変重要となります。
事業承継とは
1.親族内承継
多くの社長の場合、特にご自身が2代目、3代目という形で代々親族内での承継を目の当たりにしてきた経営者はまずは子供や親族に会社を継いで欲しいと考えるのではないでしょうか。これが親族内承継です。
メリットとしては「会社や資産を血縁者に残すことができる」「従業員からの理解が得やすい」「後継者を早期に決定できる」「取引先が安心する」というような点が挙げられます。
デメリットとしては「適任者がいることが大前提」「親族を含め相続人同士のトラブルに発展する可能性を含む」「古参の役員や従業員からの反発を招く可能性がある」などの点が挙げられます。
会社経営と所有(株主構成)だけでなく「相続」という問題が加わる点が、他の事業承継形態である親族外承継(内部からの昇格)や外部招聘、М&Aと大きく異なる点です。
2.親族外承継(内部からの昇格・外部招聘)
経営者の親族が親の事業を全く引き継ぐ意思がなく、親族内承継が見込めない場合は事業をよく理解している社員や役員への事業承継を検討する選択肢もあります。
これが「親族外承継(内部からの昇格)」です。
ただし、経営権の承継は承諾しても所有(株式)の承継に関してはまた別問題となり、実際に「株」を承継する=買い取るかどうかは判断に迷うところでしょう。なぜなら相続人ではない承継者は、基本的に株を買い取ることとなりますので、まとまった資金が必要だからです。
内部からの昇格のメリットは「承継者が会社のことをよく知っている」「従業員の理解を得やすい」「取引先が安心する」というような点が挙げられます。デメリットとしては「(株式も承継する場合は)株式の買取資金が必要」「簡単に適任者がいない」「個人保証や債務をどうするか」「反対するその他社員の退職のリスク」などが挙げられます。
内部からの昇格以外にも、親族外承継には「外部招聘」という選択肢もあります。
この場合は「当初から一定の経営知識・能力を期待できる」「しがらみ等がないので経営の革新を行いやすい」などのメリットがありますが、内部昇格同様のデメリットもあります。
3.М&A
М&Aは、Merger and Acquisition (マージャーアンドアクイジション)の略で、広くは複数の企業を1つの企業に統合すること(合併)や、ある企業が他の企業の株式や事業を買い取ることを(買収)を意味します。
親族内承継や親族外承継ができない場合は、この方法が最後の事業承継手段と言えます。
基本的にはМ&Aを行う会社は経営状態が優良であり、買収される側よりも規模が大きいケースがほとんどです。そのため、メリットとしては「最終的な会社存続の手段となり得る=廃業回避手段」「従業員の雇用が維持できるだけでなく、待遇改善やスキルアップの可能性もある」「事業のシナジー効果が見込める」「事業成長のための投資が可能」などが挙げられます。ただしデメリットとしては「承継の相手次第ではメリットがデメリットになる可能性もあり得るとも言えますので、十分な検討が必要です。
ハイフィールド行政書士法人ができること
許認可専門集団たるハイフィールド行政書士法人では、以下の対応が可能です。
- M&Aにおける許認可に関するアドバイザリー業務(譲渡・譲受)
- 承継後の許認可維持のためのコンサルティング、企業の許認可状況などの調査(デューデリジェンス)
- 承継時における行政への許認可申請・変更申請・届出
どこか遠いイメージがあるかもしれない事業承継(親族内承継、親族外承継、M&A)は、今やとても身近な存在となり、「個人事業の方、中小事業者様これからの存続のために今考えておくべきもの」として浸透してきています。
ハイフィールド行政書士法人のM&A支援では、大切な会社の将来を見据えて「M&A成立後の許認可維持」までをトータルでサポートいたします